takamiya

連載

補話1 動く小石

マスターの話を聞きたいと言い出したものの、元教授の講義がいささか難しく、僕は自分なりにマスターの考えをまとめてみる。『およそ生命という存在は平等で等価値』【客観的生命等価値論】 であると同時に『もっぱら個人の主観的価値判断』によって最終的な...
連載

第四話 どんぐりの背比べ

「客観的生命等価値論。」僕は思わず復唱した。僕の命、マスターの命、カフカの命はすべて確かに大事だ。でも、トロッコ問題のようにマスターかカフカ、どちらかしかを助けられないとすると僕はマスターを迷いなく選んでいたと思う。でも、マスターの立場で考...
連載

第三話 ショーケース

次の日、雨はすっかり上がって、雲間からやわらかな朝の光がさしていた。少しだけ気持ちが軽くなった僕は、昨日とは違う、軽い足取りで町外れの喫茶店の扉を押した。木製の扉の向こうには、いつもと変わらぬ落ち着いた空気と、マスターの穏やかな笑顔が静かに...
連載

第二話 こころは二つ身は一つ

「生き物の『いのち』その価値をどうやって測ればいいのか、考えたことはあるかい?」そのマスターの問いかけに、僕は言葉がうまく出なかった。カウンター越しに静かな目で見つめるその瞳には、ただ正解を求めているのではなく、僕自身が考える時間を味わおう...
連載

一話 カメと金魚

町外れの古びた喫茶店。木製の扉を押し開けると、少しひんやりとした空気とともに、コーヒーの香りがふわりと漂った。静かな店内には、時の流れがゆっくりと染み込んでいるようだった。雨が静かに窓を打ちつけ、外の世界をしっとりと濡らしている。店内は木の...